戦友(1) 「私・・・つらかったです」

終わりの見えない戦いもようやく幕を閉じ
私たちはかけがえのない戦友になった

妻は2年前に突然倒れた
ちょうど早期退職を考えてたので
私は家に入り看病することにした

ただひとりでは限界がある

仕方なく息子の嫁のユリコにも
手伝ってもらうことにした
申し訳ない気持ちもあったが
経済的にもそうするしかなかった

同居していたわけではないので
ユリコはうちに通うことになった
昼間はほとんど任せて私は眠り
夜は私が面倒を見る
12時間交代のようにして
なんとかしのいでいた

ただ体力的にもかなりきつかった
仕事の方が何倍も楽だったのだ

妻が亡くなった時私たちはまるで
終戦を迎えた兵士のように
壁を背にして呆然と妻の病床を見つめていた

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戦友(2) 「味方してくれてたら・・・」

「近くに住んでいても年に数回しか
顔を出さなかったのは忘れたくても
忘れられなかったからです」
「わしらが思ってる以上に
傷ついてたんだな」
「お義父さんは無関心でしたよね」

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戦友(3) 「もっと話したくなってきました」

「じゃ わしの女性経験を話すから
ユリコさんも教えてくれるか」
「えっ でも・・・」
「タケシに言うつもりはないぞ」
「わかってます でも・・・」
「多いんだな 思い出せないくらい」
「いえっ そんなには」

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戦友(4) 「終わったんですね それもこれも」

「終わったんですね それもこれも」
「そうじゃ もう憎まなくてもいい」
「はい だから空っぽなんです
憎しみでつらさを乗り越えてきたので」
「ただ幸せに暮らせばいいさ」
「おかしんですけど元々そういう
平穏な暮らしは求めてないのかなって」
「そうなのか」
「タケシさんと結婚したのも
お義母さんがいたからかもしれません
反対されればされるほど燃えてたので」

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戦友(5) 「タケシとはどうなんだ」

「タケシとはどうなんだ」
「夜ですか」
「あぁ」
「それが・・・毎日ヘトヘトで
あんまり相手できなかったんです」
「まぁな 大変だったもんな
でもこれからは大丈夫だな」
「でも子供はもういいかなって」
「最近は40くらいでも大丈夫なんだろ」
「そうですけど・・・」
「いやっ わしはいいんだ
ただ幸せに暮らしてくれればいい
これだけ苦労かけたんだから
あっ ちゃんとお礼も考えてるからな」
「ありがとうございます」

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苦難を共に乗り越えた時2人は・・・「戦友」 電子書籍発売!

ブログで連載していました「戦友」の
電子書籍の販売を開始しました

「金曜日の出来事」というエピソードを特別収録しております

ラストシーンに隠された謎が今明かされる!ということで
本編を読まれた方にも楽しんでいただけると思いますので
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-本文抜粋-

「水沢って名字覚えててくれたんですね」
「当たり前だろ」
「この女性が今の彼女? 若いけど」
「えっ あっ」

すぐに嫁だと言えばいいのに
何故か言葉に詰まった

「キレイね」
「ありがとうございます」
「実は・・・」
「元カノさんですか」
「えっ まぁそういうところかな」
「じゃあ 不倫してたんですね」
「この子酔ってるわね」
「あぁ だから迎えに来たんだ」

ユリコも嫁だと言わないなら
このまま彼女ってことでいいかもしれない

「連れがいるんだろ」
「お邪魔ってこと?」
「いやっ」
「奥様亡くなられたのご存知ですか?」
「えっ そうなの」
「あっ つい最近な」
「それでもうこんなカワイイ子と
付き合ってるなんてスミに置けないわね」
「だから実は・・・」
「眠くなってきた」
「私も戻るわ よくこの店来るから
また会えるといいわね」
「あぁ」

アキコとまた会える また抱ける
生きる活力が戻ってきたようだ
ただ今はユリコの方が魅力的だ
2人を見比べながらそう思った

「どうして黙ってたんですか」
「それは・・・ユリコさんも」
「私はお義父さんが言わないから」
「まぁ いいだろ 別に」

-以上-

書き下ろし新作「天秤の残骸」電子書籍発売!

義父母の面倒を見るために単身同居することになった
優しい嫁に訪れる無慈悲な出来事を描いたエロティック&サスペンス小説
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こちらの作品は電子書籍限定の未発表新作です
「清掃員美花」「息子の視線」に続いての
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第1巻  第2巻  第3巻

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こちらの電子書籍は専用のkindleタブレットだけではなく
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kindleアプリを無料でダウンロードしていただくだけで読むことができます

-本文抜粋-

私の名前は西口サトミ 31才
夫のフミヤさんと結婚して5年になる
子供はいないが幸せに暮らしている

ただある事情が私たちの生活を変えた

「父さんアルツハイマーだって 初期だけど」

まさかだった 
定年を迎えて海外移住のために
いろいろと情報を探してる時期で
夫が電話でいろいろ話してるのを
となりで聞いていたのに

「でもどうしてわかったの」
「母さんのケガの通院でついていって
病院の人が何かおかしいことに気づいて
それで・・・」
「そんなことあるんだ」
「相当おかしかったらしい
母さんに俺の名前を聞いたり」
「それって初期なの?」
「名前を言ってもわからなくなると
かなり進行してるってことらしいよ
だから今のところ本人も物忘れが
ひどくなったと思ってるだけなんだ」
「そうなんだ」

「ずっとじゃないからさ」
「何度も言わなくてもわかってるって」
「母さんのケガが治ったら
またちゃんと姉さんと話し合うし」

夫は長男だが上に姉がいる
わたしとって義理の姉だが
結婚式で会ったきりだ
結婚はしてないようだが実家には
住んでいないとのことだ
何か事情があるのかそれ以上は教えてくれない

義母のケガは足の方だが
半年ほどで完治するらしく
余裕を持って1年という期間限定で
義父母との同居が決まった

夫は仕事があるのでこのままここに残る
週末しか会えなくなるが
なんとかガマンするしかない

「サトミ・・・」

夫はこのことが決まってから
私のことを毎晩抱く
今までは3日に1度のペースだったので
かなりハイペースだ

「疲れてるんじゃないの」
「君のためじゃないよ 俺が・・・」
「うれしいわ」

夫は38才だが年々弱まるどころか
付き合い始めた時よりもずっと
激しくなっている

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「うれしいよ サトミさんと散歩出来て」
「本当ですか」
「今まで会ってなかったからまだお互い
慣れてないけど これからは仲良くやろう」
「はい!!」

義父がまともなことを言うのが不思議だ

「病気がなければ・・・」
「やめましょうよ 考えるの」
「記憶に残ってるから困るんだ
自分のしたことが浮かんでくると落ち込むぞ」
「私たちは病気のこと知ってるんですから
甘えてくれていいですよ」
「優しいな サトミさんは」

しばらく川を眺めていると
空が赤く染まってきたので帰ることにした

「じゃ そろそろ帰りましょうか」
「そうだな」

ただ義父は来た道の逆に向かった

「そっちからも帰れるんですか」
「えっ」

無心だったようだ
義父の目が宙を見ている

-以上-

最後の晩餐(1) 「ナオコさん待ってたよ」

私は若者不足で過疎になった地区の
お見合いパーティに参加した

三浦ナオコ 32才

もうすでに30を過ぎて男遊びするのも
飽きてきた頃だった それに以前よりスムーズに
いかなくなったことも原因かもしれない
”そろそろ身を固めよう”
そう思ってまわりを見たがもちろん未婚の男は
女遊びが激しい軽い男ばかりだった

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最後の晩餐(2) 「じゃ ひと口だけ」

「ナオコさんは何か食べてきたのか?」
「朝食べただけですけど大丈夫ですよ」
「またすぐ帰っちゃうのか・・・」
「夜ご飯の用意もありますし」
「今度オサムに言わないとなぁ
病院に来る日だけどっかに食べに行けって」
「ウフフッ お義父さんったら」

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最後の晩餐(3) 「今度遊びに行くね」

昼は市内まで出てバーガーショップに入った
外食することが少なくなったので
ジャンクフードが美味しく感じるのだ

「ミホ 今 大丈夫?」
「うん」
「何してたの?」
「さっき起きてごはん食べ終わったところ」

ミホもあのパーティでカップルになったが
マザコンの男で母親の反対されて
付き合いは終わってしまった

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北条光影

Author:北条光影

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