今日は家族にとって特別な日だ
僕たちは電車とタクシーを乗り継ぎ
大きな温泉付きのホテルにやってきた
「やっぱり寒いな」
「雪すごいね」
「・・・」
「早く温泉入りたい!!」
「あぁ そうだな」
「・・・」
「なんだよ 楽しみじゃないのか」
「別に」
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「お兄ちゃん知ってたの」
「まぁな」
「な~んだ つまんないの」
「このあとロビーで会うことになってるから」
そして荷物を置いて少ししてロビーに向かった
父の様子を見るとまだ到着してないようだ
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「大きいね ここ」
「あぁ あっちは露天風呂だって」
「全部行こうよ」
「あぁ」
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「はぁ はぁ」
戸を開けると誰もいなかった
「コウジ~ コウジ~」
とりあえず浴衣のままオフロの方に入ったが
誰も入っていない
ただわざと隠れてるかもしれない
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ただ誰か来るかもしれない
もし来るとしたら女性だろう
のぞきで捕まったら・・・人生終わりだ
ガタッ
少し動いた拍子にひざが塀に当たった
やばい!!!
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「もうそこは大人なのね」
「・・・」
「でもちょっと待って弟もいるって・・・」
「ごめんなさい!!!」
僕は最後までおばさんの話を聞かずに
その場を立ち去った
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「よし ここだな」
「ご予約ですか」
「はい 田中です」
「お待ちしておりました あちらです」
「おい ちゃんとついてこいよ」
「うわぁ いいにおいがする」
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「さっき温泉ですれ違ったわね」
「えっ」
「弟をさがしてたでしょ」
「は、はい」
「お兄ちゃんどこで会ったの」
「露天風呂の方よ コウジくんはもう入った?」
「ううん 明日入るよ」
「なんだ おまえ迷子になってたのか」
「違うよ トイレ行ってる間に
お兄ちゃんが勝手に探しにいったんだよ」
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「コウイチ さっきから何ボ~ッと
してるんだよ」
「えっ」
「ヤエコさんのこと嫌いなのか」
「・・・えっ 何」
「何って」
「嫌いじゃないよ 全然」
「じゃあ 好きなの?」
「はっ はい」
「お兄ちゃん じゃあ結婚する?」
「はい?」
「はいだって~」
「うれしいわ」
「なんだよ 父さんのライバルになるつもりか」
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手を洗ってトイレを出ると
なんとヤエコさんとばったり
出くわしてしまった
また気まずい・・・
「コウイチくん」
「はい」
「びっくりしたわね」
「はい」
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