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姉弟同居-未亡人と軟弱者-(1) 「挨拶した方がいいよね」

「お姉ちゃん 本当に一緒に住むの?」
「何よ 冷たいじゃないの」
「また酔っぱらってるんだね」
「悪い?」
「えっ・・・ごめんなさい」
「謝るの早すぎよ 情けないわね もう」


樋口ツトム 30才

うちは両親と姉の4人家族

両親は僕が大学を卒業したタイミングで
海外に移住してしまい最近は連絡もほとんどない


姉はヒロコ 36才

現在は介護の仕事をしているが
元看護師で病院で知り合った義兄と結婚した
ただその義兄が昨年亡くなった

元々長く生きられないとわかっていたので
粛々と葬儀を済ませて姉は未亡人になった


実家のマンションには僕がひとりで住んでいる

仕事はオークション業で
出品物が所狭しと積み上がっている


「リビングがすごいことになってきたね」

一緒に仕事をしているのは三沢カズヤ
高校の同級生でPC研究会で知り合った

「お姉ちゃんの部屋だけは空けておかないと
何を言われるかわかんないから」
「そんなに怖いんだ」
「う~ん 酔っぱらうと大変かも」
「これからは泊まるの控えないとね」
「それは大丈夫だって」
「でも僕まで説教されそうだし」
「ハハハッ」

三沢くんも僕と同じく気が弱くおとなしい性格だ
大学も同じだったが外で働くのが怖いので
ネットオークションの仕事をずっと一緒に研究していた

やることは多いがそれなりの収入は得られる
情報戦に勝ってさえいれば常連さんが
何度も利用してくれるからだ

三沢くんは実家暮らしだがほぼ毎日うちにいる
ここで一緒に住んだ方がいいくらいだが
母親に結婚出来なくなるからダメだと言われている


「今週も婚活パーティだよ イヤになっちゃう」
「もう5回目だしベテランでしょ」
「樋口くんも一緒に参加してよ」
「興味ないって」
「宮本アンリを裏切れないってこと?」
「そりゃ・・・」

僕は昔から気が多い方だ アニメのキャラから
アイドルからAV女優に至るまですぐに惚れてしまう

今は地下アイドルの宮本アンリにハマっている
秋葉原に仕入れに行った時にもらったチラシの
写真を見てファンになった

ライブに行くと帰りに本人とも話せるが
もう名前も覚えてもらっている

「樋口さんが来てくれなくなったら
AV女優になっちゃうんだから」
「ダメだって」
「じゃあ 次のライブも来てくれる?」
「まだわからないけどなるべくは・・・」
「浮気するんだ~ 私なんて・・・」
「そんなことないよ アンリちゃんが一番だよ」
「本当に?」
「う、うん」
「ひとめぼれしてくれたんだもんね」
「そうだよ」
「ウフフッ」

マネージャ-の目を盗んで
ボディタッチもしてくれる

「樋口さんだけだよ」

営業トークなのはわかっているが
遠い存在の女性だとありえないことなのでうれしい


「前にも言ったけどAV女優に
なってくれた方が楽しめるんじゃない」
「それは・・・」
「好きだとか言いながらAVも見てるんだし
もちろん付き合うなら別だけど」
「その可能性も・・・あるんじゃないかな」
「告白するってこと?」
「いやっ う~ん このままでも楽しいから」
「まぁ 僕らから告白なんて無理だよね」
「ハハハッ」

30才になってしまったが
2人とも正真正銘の童貞だ
デートすらしたことがない

女性と話す機会といえば僕はアンリと姉で
三沢くんは母親だけと言っていい

ひとりっ子なので甘やかされてきたのは仕方ないが
少し三沢くんのところは異常だ
性教育の一環ということでAVも母親が買ってくる
父親はおとなしい性格なので
子育てには口出ししないらしい

友達になってからは一緒にそのAVを見たりしている


「挨拶した方がいいよね」
「そりゃ これからも会うことになるし」
「緊張するなぁ」
「婚活パーティと一緒だって
お姉ちゃんはおしゃべりだから
勝手に話してくれるし」
「そっか それなら大丈夫かな」

姉は今日来ることになっている

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