妹との再会(3)「もう お兄ちゃん どこ見てるのよ」

「ここ ここ」

「営業してるのか」
「私は常連だよ 営業時間くらいわかってるって」
「そうだよな」

「どうしよっか 先に帰ってるなら鍵渡しておくけど」
「いやっ 待ってるって マッサージ機とかあるんだろ」
「誰も使ってないんじゃないかな」
「まぁ ゆっくりしてるから 声かけてくれ」
「わかった 今日はお兄ちゃんに合わせて
1時間以内にあがるようにするから」


「いらっしゃい ナオミちゃん 久しぶりね」
「うん あっ あっちにいるのお兄ちゃんだから」
「そうなのかい あんまり似てないね お父さんと」

父が亡くなったことはまだ知らないようだ

「じゃあね お兄ちゃん」


昔懐かしい銭湯といった感じがする
テレビでは見たことあるが入るのははじめてだ

客はここからお年寄りが2人見える

とりあえず空いてるロッカーの前で脱いでいった


ガラガラっ

ここに父も来ていたのか そう思うと感慨深い
お決まりの富士山の絵もなかなか味がある


「熱っ」

家ではぬるま湯に浸かるくらいなので
かなり熱く感じる 長く入るは無理そうだ

20年の月日はさすがにあっという間じゃない
俺にもいろんなことがあった

いやっ そんなことよりも妹のことを考えよう

3人にとって一番いい着地点は・・・

母が元気なうちに一旦妹と暮らすことにして
2人の関係改善を図っていくのが最善な気がする

実の母と娘なんだから和解することもあるはずだ

和解しなかったら・・・妹を結婚させるのもいい
一緒に暮らさないといけないわけじゃない

俺の結婚はそのあとかな いやっ 出来ないかもしれない
母と妹の問題を抱えながら年老いていくだけな気がする

それも俺の人生だ 

父の看病をひとりでしていた妹に比べれば幸せな人生だろう 
これからは妹のわがままも少しくらいきいてやれる

母は何て言うだろう 想像がつかない
ただ行かないでと言われても妹を優先しまいそうだ


「あぁ 気持ちいい」

マッサージ機に座るなんて本当に久しぶりだ



「早かったでしょ」
「あぁ」
「だいたいお兄ちゃんはそれくらいかなって」
「読まれてたか ハハハッ」

妹の黒いTシャツをチラッと見ると
ブラをしてないことがすぐにわかった

「おまえブラしてないのか」
「もう お兄ちゃん どこ見てるのよ」
「誰でも気づくぞ 今までもずっとそうしてたのか」
「うん でもTシャツなのは暑い時期だけだよ
あとお父さんと一緒のことも多かったし」
「何だかんだうまくやってたんじゃないか」
「当たり前じゃない ごはんも一緒に食べてたし
そんなに話はしてなかったけど」

ということは夏の間はずっとこの格好で
部屋にいるということか 反射神経的に見てしまいそうだ
興味ない母の胸にも視線を送ってたくらいなのだから

「お酒買って帰ろうか」
「おっ おぅ」

ビールや焼酎なんかを買い込んだ

「ナオミとお酒を飲む日が来るとはな」
「ウフフッ そうだね 今日がはじめてだね」



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