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孫の看病(2) 「もう お母さん心配させないでよ」

私は娘夫婦の住む街にある団地で
ひとり暮らしをしている

マンションを買ってもよかったが
夫も私も旅行が好きだったので
貯金はそのために使おうという結論になった

なのに旅行に一度も行くこともなく
夫はこの世を去ってしまったのだ

「もう お母さん心配させないでよ」
「ごめんね」

キッチンの上の棚の掃除を久しぶりに
しようと思って台に乗った時
うっかり足を踏み外してしまったのだ

左腕をテーブルに打ちつけて
右おしりで床に着地した

全治2ヵ月の怪我だ
幸いにして足は無事なので尾てい骨の
痛みはあるがトイレは無理すればいける
ただいろいろと不便だ

オフロに入れないので
拭いてもらわないといけないのだ

「店もあるからずっと面倒も見れないし・・・」

娘ははじめてカラダを拭きにきてくれた

「ヘルパーさんでも頼んだほうがいいかしら」
「もったいないわ 高いのよ そういうの
それに恥ずかしいでしょ」
「そりゃあ・・・でもお金がないわけでもないし
女性同士ならそこまで気にならないかなって」

貯金は夫の生命保険の分も入ってきたので
結構な額がある

「そうだ タイチに頼んでみるわ
あの子クラブもあんまり参加してないみたいだし」
「嫌がるわよ 男の子なんだから
それに学生は友達と遊ばないと・・・」
「そういうタイプじゃないでしょ
本ばっかり読んでるし」

タイチが私に女性を感じないと
娘は思っているようだ

「もういじめられてないのかい」
「大丈夫 友達も出来たみたいだから」
「それじゃ・・・」
「同じようなタイプだから学校の中だけの
付き合いみたいなのよ」
「友達なのかい それって」
「まぁ いいじゃない 本人たちがそれでよければ」

性格はヨウジさんに似てしまったようだ
少しでも娘に似てくれれば
世の中を渡るのが楽になりそうなのに

「まぁ 大学に行けば変わるわよ」

息子を育てたことがないので
助言のしようがない
ただ反抗期もなかったので娘はなんだかんだ
子供との関係をうまくやってるようだ


その日の夜に電話がかかってきた

「やってくれるって」
「本当かい」
「嫌がるはずないでしょ
大好きなお祖母ちゃんの看病なのに」

タイチは優しい子だ

小さい頃うちに遊びに来てた時は
だいたい夫と話をしていた
私はそんな2人を眺めてただけだ

ここ最近は正月には挨拶に来るが
あとはパン屋で偶然見かけるくらいで
会う機会も少なくなっていた

孫というのは本当に天使だ
見てるだけで幸せになる

電話の横には娘夫婦の結婚写真と
小学生だったタイチと私たち夫婦で
撮った写真を飾っている

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